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2024年05月14日
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ハッピーバレンタイン

2010年02月16日
 間に合ってないどころの話じゃないですが(もう過去のことだよ!)、思いついたのが今だったのでまあ、ハッピーバレンタイン。
 私はロイズのポテチョコ貰いました。ヴィタメールのチョコレートケーキあげました。生ものでごめん。やっぱり今気付いた。

 続きに学バロで清幸。清幸かこれ。おまけで三成。
 しかも書き上げてから気付いたけどネタにちょっとデジャビュ。デジャヴ? どっち? とにかくどっかで見たネタ。すみません。
 清正三成兼続正則(いないけど)が2年で、幸村宗茂政宗(欠片もいませんが)が1年、左近が教師。高校生です。

 あ、と小さく声を上げた幸村に、顔を上げた清正もパタリと立ち止まった。
「清正殿もお帰りですか?」
「ああ」
 裏門から出てきた清正が、普通に表門から出てきた幸村と鉢合わせたのは、いつも使っている道の角でだった。登校時には向こうからやってきてこの角を左に曲がる。右に曲がった先の裏門は、普通生徒は利用しない。清正もこんな日でなければ、わざわざ校舎をぐるりと回って裏門を使うようなことはしない。こんな日、というのは冬の空は抜けるように高く青いが、強い北風がポケットに突っ込んだ手を出しにくくさせる、バレンタインデーのことであった。
 清正の荷物はいつもの鞄と紙袋ひとつ。転じて幸村は、いつもの鞄と紙袋と、両腕に抱えた色とりどりの包みだ。まさに清正はその状態を回避したいがために裏門を使ったのだが、登下校のルートを変えない幸村は、女子どもの格好の餌食になってしまったようだ。
「……大漁だな」
「私などに、もったいないことです」
 幸村は遠慮がちに笑い、持てる限りの誠意でもって、今日一日チョコレートを受け取り続けたのだろう。清正が見たところ、義理の中に本命がいくつも混じっているようだ。だが幸村の扱いは変わらない。幸村には義理と本命の区別がついていないんだろうな、とは、後輩のくせにふてぶてしい立花宗茂の言だ。
「入れてくか? 落としたらことだろ」
 清正はまだ余裕のある自分の紙袋を開いて見せた。断れるものは断るようにしているから、清正の手に残るチョコレートは意外なほど少ない。
 ありがとうございます、と幸村は抱えていたチョコレートを丁寧に紙袋に入れた。そのとき、紙袋に既に放り込まれているのと同じラッピングが、幸村のチョコの山の一番上にあったことに気付いたが、清正は口を噤んだ。宗茂とは学年違いながら中学からの腐れ縁だ。何故か友人達にチョコレートを配りたがるあの後輩の妙な趣味に、幸村も巻き込まれたのかと内心嘆息する。
 幸村の分のチョコレートも呑み込んで、容量ぎりぎりに膨れあがった紙袋を清正は持ち直した。私が、と言う幸村に適当に手を振って、それには及ばない旨を示す。
「さっさと帰るぜ。さすがに寒い」
「そうですね」
 チョコレートを抱えるために寒気から身を守れなかった幸村の手が、そっと布の下に隠された。清正はそれに満足して、いっそ忌々しい重さの紙袋を腕にひっかけ、コートのポケットに手を突っ込む。
「兼続殿がホットチョコレートを振る舞ってくださるそうなのですが、清正殿もご一緒にいかがですか?」
 そんな誘いを受けた清正は、バレンタインデーにチョコレートを配ろうとする男は宗茂だけじゃないんだな、と妙な感心を覚えた。


***そのころの生徒会役員室。
「俺だって、チョコレートのひとつやふたつ……!」
 校舎の端に位置する生徒会役員室からは、生徒が登下校に使っている道が良く見える。そこに遠目でも分かる見慣れた二人を見た三成は、確実に書類を一枚駄目にしながらそんなことを呟いた。無意識の呟きだ。だが生徒会顧問である島左近にはしっかりと聞こえていた。
 あげる気だったのか、貰う気だったのか。
 顔と成績だけはいい三成も、部屋の隅に置いてある紙袋から溢れんばかりのチョコレートを貰っている。だがそれらに三成が価値を置かないであろうことを左近は知っていたし、三成が何とも言い難い表情で見つめる先には、並んで下校する加藤清正と真田幸村──共に、三成には珍しく友人と言える幼馴染みと後輩──がいるもんだから。
「(……どっちに?)」
 左近の疑問は、賢くも胸の内だけに響いた。
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